極論で語る睡眠医学 河合真著

当院は放射線科胃腸科を標榜しておりますが、基本的にはかかりつけ医としての対応をしますので患者さまのさまざまな症状や訴えを聞くことになります。その中でも睡眠に関するものは意外と多く、薬物での治療をせざるを得ないケースもあります。今回この書籍を手に取ったのは、専門の先生のお話を診察の現場でどうにか生かせないかという思いからでした。

医学生、研修医、そしてその後のキャリアにおいて、睡眠に関して系統立てて勉強するチャンスは実はなかなかありません。「人生の三分の一は睡眠です!(某ふとん店TVCM)」と言われるのにも関わらず、です。それこそ製薬メーカーの説明や研究会でお話を伺うチャンスはありますが、それは主に薬の違いや使い方・選び方のコツになってしまいます。これでは薬から抜け出せない状況をしばしば生んでしまうように思われます。

この書籍には生活習慣や心がけ、隠れている疾患、検査・記録の仕方など、薬以外のことの方にボリュームが割かれています。睡眠研究の奥深さや限界についても記されていて興味深く読みました。また「医師の睡眠不足」という章までありちょっとドキッとしました。他にも睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、ナルコレプシーといった疾患をはじめ、睡眠薬の位置づけ、不眠の成り立ち、病棟・救急外来における睡眠まで、幅広く、そして河合先生の思いの丈が存分に発揮された文体で書かれていました。イラストもふんだんに入れられていて読みやすさにつながったと思います。

まえがきによりますと、本書を監修された香坂俊先生は本書を編集してからというものご自身の診察スタイルにいくつかの変化が出てきたことに気づかれたとのことでした。当院での不眠症の診察のスタイルにも少し変化が出てくるでしょうか。また定期的に振り返ってみたいと思います。

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