まんが ケトン体入門 おちゃずけ著 宗田哲男監修

「2016年Amazonランキング大賞3位の新書をコミック化」という一冊。ブドウ糖ちゃんとケトン体くんが色々な先生や体験者に話を聞きながら、ケトン体のすごさを紐解いていく内容になっています。

そもそも「ケトン体」という言葉の響きはわれわれ医療関係者には「あまり良くないもの」というイメージがつきまとっていました。人間が飢餓状態にあるとき、脳においてはブドウ糖に変わって緊急時の代替エネルギーとなりうる…そして、糖尿病で高血糖状態に陥るとケトン体の異常上昇から「糖尿病ケトアシドーシス」という命に関わる病態を引き起こしてしまうことを学びます。「ケトン体」のプラスの部分についてあまり教わることがなく医師になった自分にとって、その「ケトン体」大活躍の話というのはにわかに受け入れがたい気持ちになったことがあったのは事実です。

しかし、昨今体重のコントロールのみならず、糖尿病の治療、アレルギーなどさまざまな疾患に生かされるようになった「糖質制限食」を考えていく中で絶対に欠かせないのが「ケトン体」であるため、徐々にその働きについて興味を抱くようになりました。がん、アルツハイマー病、うつ病…さまざまな疾患にたいして抑制的にはたらく「ケトン体」の機能が少しずつ臨床現場で生かされていることを紹介してくれる書籍になっています。そしてマンガで分かりやすく説明してあるので、(まだ未読ですが)新書版よりもとっつきやすいと思われます。

エビデンス(その事象を支える証拠やデータ)が求められる昨今の医療界ですが、そのエビデンスは必ずしもデータの論文化から始まるものばかりではなくなりつつあります。ケトン体と疾患に関する論文は検索してみたところたくさんあるとは言えませんが、後追いで増えてくる可能性は十分にあるように感じました。この本ではそんな「ケトン体の魅力」を楽しく描いています。

「ケトン体を上手に使うためには…」なかなかこのような指導をしてくださる病院・医院は「今は」少ないかもしれません。しかし、10年後には変わっているかもしれません。そんな可能性を感じさせてくれるコミックでした。

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