「インフルエンザ なぜ毎年流行するのか」

医書は仕事柄読みますが、ブログの記事にするのは久しぶりとなります。

神戸大学医学部感染症学講座・岩田健太郎先生の新刊新書を読みました。なんと半年前に約10日間で書き上げられたという本で、ものすごい勢いで岩田先生が書かれた(もしくはボイスレコーダーかもしれませんが)のがうかがえるスピード感漂う一冊です。インフルエンザの話で1冊が書き上げられているわけではなく、感染症予防、ワクチン、抗生剤など、岩田先生の得意分野のお話がアラカルト的に、最新データとともに並べられています。

岩田先生は「いろんな理由が複合的に絡み合って」インフルエンザは毎年冬に流行すると書かれています。その理由のいくつかは「ウイルスは乾燥下で元気になる」「冬は日照時間が少なく」「密閉された建物の中にいることが多いこと」ではないかと書かれています。「効く」「効かない」の議論が尽きないインフルエンザ・ワクチンについても簡潔に触れられており、当然先生も先生のご家族も毎年接種されるそうですがその理由も読めば納得というものです。

抗生剤の功罪、誤用については先生の独壇場。岩田節炸裂で痛快です。また、ワクチン論では近藤誠氏の主張を並べて一つ一つを吟味する(全否定・全肯定ではない)ことの大切さを実践されていました。岩田先生がワクチンを語られるときに根幹とされているのは「双方向的なリスクを認識した上での行動か否か」です。つまり「(自己責任で)定期接種をしないというのであれば、それによって予防できるはずだった感染症に苦しんだり命を落としたとしても、それもまた自己責任ですよ」ということです。

ワクチンを拒否されるのは全く問題ありませんがその理由を見てみると「接種しないリスク」が見落とされがちであると書かれています。接種するとしてもしないとしても「ゼロリスクはあり得ない」ことを認識しておかねばなりません(それには勉強が大切ですね)。

少しこみ入った話になったかもしれませんが、本書は一般の方でも十分読める内容となっています。もし興味がありましたらご一読ください。

今季のインフルエンザもなかなかの猛威を振るっております。高齢者施設での感染拡大、新薬ゾフルーザの耐性ウイルス出現、A型の2種類流行、治癒証明書不要など、さまざまなニュースが医学系サイトにも出ています。手洗い、十分な栄養と休養、人混みを避けるなどして、できるだけインフルエンザを遠ざけてください。

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